二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第63期王将戦挑決リーグ 郷田真隆九段-羽生善治三冠 反撃は台風とともに。

台風26号の影響で、超短縮版でお送りいたします。
明日朝がちょっぱやなのです。

第63期王将リーグはどんどん対局が進んでいて、10/15は羽生三冠が登場。
羽生三冠の対局は、この前王座戦順位戦をレポートしたばっかな感じで
常時対局している気がしますが、っていうか本当に対局数が多くて、
しかも全国各地で戦われている。その上相手がタイトル戦級ばっかり。
今日の相手は郷田九段。

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でも、そのほうが調子がいいんじゃないかってくらい、
ここのところ勝っています。
そして本譜も「先手模様よし」とみられていたところ、
気がつけば羽生三冠が逆転していたという、対局でした。


先後は事前決定。先手郷田、後手羽生。
王将リーグは持ち時間各4時間。

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本譜は相掛かりとなった。
先手引き飛車棒銀に後手飛車は8四に浮いて構える。

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先手が棒銀周りから厚く攻めるのに対して
後手はそれを食い止めようと飛車を3四に浮かせ、
石田流のような構えを見せるなど可動させる。

盤の中段で牽制しあい、自陣の玉周りは手付かずという、
相掛かりらしい構成力が問われる展開に。

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中盤のねじりあいから、先手は2五にいたはずの右銀を
6五の地点まで転回。右サイドと見せかけて左を攻める。
5五角と連携してかなりの迫力だ。
この次の▲7四歩がかなり痛いので、
先手がよくなったとみられていた。

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が、次の羽生三冠の手が驚愕の一手。
次に見えている▲7四歩を先受けせずに、先に攻め合いを打診する。
「攻め合いになったら負けない」と見切ったような踏み切り。

しかし、後手玉の周りはいかにも寂しい。
むろん先手も居玉だが、後手玉に比べて差し迫った攻めは見えず、
とても攻め合える状況には見えない。

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だが、羽生三冠の読みは正しかった。
先手の攻めを精算して、△2八歩成~△3七桂不成と2筋を空けて
△2四飛と鮮やかに大転換。
次の△2八飛で既に先手玉はかなり厳しい(詰めろがかかっている)。

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投了図。
最後は即詰みに討ち取って、
羽生三冠が王将リーグ初戦を制しました。

△2八歩が異能の一着でした。意味がわからない。
自玉に危機が迫っている、と思われた段階で
その対角の位置に勝負を見出すセンス。見切り。

そしてそれは確実に先手玉に迫っていた。

タイトルでは「反撃」との言葉を使いましたが
そもそも状況が悪くなっていたのかもわからない。

台風の季節。
静岡、新潟、東京と、
全国各地で羽生三冠も猛威をふるっています。