二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第72期順位戦C級2組1回戦 佐々木勇気四段-竹内雄悟四段 大胆な仕掛けに棋理で切り結ぶ。

【第72期順位戦C級2組まとめ】

A級、B級2組と順位戦の対局が続いていますが
紹介できるものはさっくり書いていこうと思います。

携帯中継では、今期から順位戦デビューとなる
上村亘四段と竹内雄悟四段の対局を紹介していました。
上村四段戦については先日、感想を書いたとおり。

てなわけで、佐々木-竹内戦を紹介します。

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力戦調の転回から積極的な工夫を見せた竹内四段に
佐々木四段が自然な手で応じるという、
双方の持ち味が出された対局となったように思います。


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4手目△7四歩。
先日のA級三浦-屋敷戦で、
屋敷九段の新手を見た検討室の千葉六段は
「GPS・・・」とつぶやいたそうですが、
私は「ツツカナ・・・」とつぶやきたい。
関西を中心に研究の蓄積があるそうです。
そんな竹内四段は関西の一大派閥(?)森門下。

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相掛かりに進行。
意表の出だしだったものの、初手2六歩とした
佐々木四段にしれみれば、ある程度想定した範囲内に
なってきていたかもしれません。

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が、ここで後手がもう一つ工夫の一着。
玉頭の歩を突きだし、誘ってくる。
咎めにきたらお互いの玉頭は不安定、
盤中央での一大勝負となりますが、そういう戦いなら
指せそうという感触だったのか。
竹内四段は元々力戦系の振り飛車を得意とする棋士だそうで
局面を揺さぶりにきたのかもしれません。

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しかし、先手は自然な指し回しでうまくいなしつつ
玉形を整えに行き、入城目前。
玉形だけをみれば大差ですが、後手は積極的な突き越しで
4段目の飛車が横歩のように自由に動けるため
振り飛車感覚が生きそうな局面。
このあと、△4四飛→△4六飛として敵陣突破を狙う。

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先手はここで入城。
と金は作られているものの、後憂を断って攻めに向かう。

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その後、大駒を交換し合う派手な展開となったものの
最終盤では玉形の差があまりに大きいように思える。
後手は馬を2枚作っているがあまり攻防に働いていない。
先手が丁寧に遮断しています。

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ここで後手が投了となりました。
後手玉は一手一手、先手玉に詰みはなし。

竹内四段は積極的な仕掛けから自ら主導権を握ろうと試みましたが
相掛かりの激戦のなかでも棋理に沿って自然な手を重ねた
佐々木四段の冷静さが光った。そんな一局だったと思います。