第63回NHK杯 行方尚史八段-先崎学八段 雑感。
第63回NHK杯テレビ将棋トーナメントは1回戦第8局、
行方八段-先崎八段で解説が羽生三冠。なんかすげえ。
行方八段、先崎八段はともに青森県出身。
先崎さんのウィキペディアを見てたら、こんな記事を見かけた。
うわあ(´Д`)
それはともかく(?)、
対局は序盤から終盤まで
とても見どころのある熱戦となりました。
先手行方、後手先崎。
本局は正調角換わり。
相腰掛銀となってから、先手が局面飽和前に
▲4五歩と突き越して、駒がぶつかる前から仕掛ける。
先手は4筋に回していた飛車を3筋に転回。
後手もこの手ののちに3三に桂を跳ねて3筋に守備を集中。
角換わりはざっくり言って
1~4筋の先攻を通せば先手勝ち、
阻止すれば後手勝ちということが多いように思いますが
本譜では3筋を突破できるか、阻止するかの勝負に。
仕掛けた。手がつながるか。
先手は桂を入手も金・銀を失い、後手は馬を作ってこの局面。
攻めが切れていれば、後手の反攻開始という状況ですが。
この手があった。
羽生三冠が「凄い手が来た」と評した一着。
行方八段は最後の考慮時間を使い切り
飛車を切り飛ばす手順で繋ぐ。
以下、△7二飛、▲3三成飛、△同歩、▲3一歩と
攻めがつながっている。
しかし、ここから先崎八段が大脱走を図る。
迫る刃を潜り抜けるように、
馬と角とで道を作り、自陣からの脱出を図る。
先手は自陣に手を入れながら、攻防の馬を消しに行く。
この桂が最後に存在感を放つことになるとは。
飛車を2枚並べて攻防に利かそうとする粘り。
入玉ルートを作れるか。
しかし、この金で入玉を阻止。そして詰み筋へ。
以下△6四玉、▲5六桂、△同馬と進み、
これが投了図。
最後に2枚の桂馬を連続にただ捨てして
玉を退かせ、即詰みに討ち取りました。
投了図以下は、△同金(△同銀)、▲7五銀まで。
先手陣には全く手がついていないので
3筋突破の時点で先手優勢は変わらなかったのですが
それでも長手数の終盤戦を、秒読みの中
相手玉を追い詰め続け、最後には綺麗に詰みに討ち取るあたり
行方八段の充実ぶりがうかがえる棋譜になったと思います。
先日も、佐藤康光九段との一分将棋の長い終盤戦を勝ち切り
王位戦への挑戦を決めたばかり。
まもなくA級順位戦も始まりますが、
好調は維持できているとみていいんじゃないでしょうか。
遅れてきた本格派の快進撃も期待できるかもしれませんね。