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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




2016年4月「将棋クラスタが選ぶ月間名局賞」はじめました。

ツイッターつかって月間名局大賞を選ぼう企画をやっております
(5/8 00:50現在、投票は5/8 23:59まで)
※ 投票は終了しました。ありがとうございました。


始めた理由は、将棋における名局賞や熱局評価について

「年度初めの対局って不利すぎねえ?」

というシンプルな想いからで、
できれば月間で振り返ることでおもしろかった対局を
掘り起こすというか、改めて評価しなおすことにつながればいいかなと
思ったからなんですが、これ、やってみると、ことのほか面白い。

間もなく投票は終わってしまうのですが、
是非出来る限り多くの人に参加していただきたい、
ということで、今回、月神局の投票対象になっている
月間名局賞となった4局について、
この場を借りて簡単に紹介したいと思います。

なお、紹介順は推薦上位の4局について、
勝手に抽選した順となっております。

竜王戦6組ランキング戦準々決勝

門倉啓太四段-中田功七段

20160430 都市センターホテル

4月最後の対局が候補に。
三間飛車一刀流で戦い続ける中田七段に対し
居飛車党へのスタイルチェンジを模索する門倉四段、
居飛車穴熊に構え、対抗形に。

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守りを固めつつ機敏に飛車角総交換を迫った先手がペースを握り
左図、敵陣に馬を作り飛車を打ちあったところでは
囲いの差で先手が大きくリードしたかと思いましたが、

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△8四角!が粘りのある受けで後手が徐々に間合いを詰める。
そこから玉頭回りでの果てしない桂香の打ち合いとなるが、
勝負勝負を迫る後手がついに逆転、

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2度目となる3段ロケット!で穴熊を撃退、
中田功七段が146手の激戦を制しました。

振り飛車が穴熊相手に模様を悪くしながらも
粘りと度胸で迫った逆転劇。
振り飛車党に勇気を与える対局だったと思います。


第9期マイナビ女子オープン第2局

加藤桃子女王-室谷由紀女流二段

20160427 福島県郡山市「ホテルハマツ」

棋譜中継中継ブログ

室谷女流二段のタイトル戦初勝利局がノミネート。
角道を開けた振り飛車が得意の室谷女流、
ここで意表の矢倉流中飛車を投入。

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居飛車穴熊模様に組もうとする加藤女王に対し、
機先を制して仕掛けると、

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決断よく角交換ののち左桂を跳ね、次々と攻め駒を捌いていきます。
と金、左桂で先手の守備駒をはがす一方、
後手の美濃は手つかず。

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終盤のこの△3五角!が絶妙の攻防手で大勢が決しました。
その後も、第1局で終盤に逆転を許した轍を踏まんとばかりに
最後までたゆまず指し続けた室谷女流二段が完勝。

覚醒した感のある室谷女流二段の、
振り飛車の理想とも言うべき指し回し。
堂々の月間名局賞入りです。


第74期名人戦 第2局

佐藤天彦八段-羽生善治名人

20160422・23 長野県松本市「ホテルブエナビスタ

棋譜中継応援掲示板)(朝日新聞デジタル

年度の開幕を告げる将棋界最大イベント「名人戦」から第2局を。
一言では言い表せない「衝撃」の対局でした。
名人戦初勝利を狙う佐藤天彦八段は、先手で矢倉早囲いを採用。

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有力視されている4筋を切らした形をぶつけますが、
△6二飛と回る後手の対応から難解ながらも徐々に後手ペースに。

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しかし、先手は駒損も馬を作って粘り強く立て直し、
後手の弱点である3筋を攻めつつ飛車に圧力をかけ勝負形に持ち込む。
ただ、右図△7一桂!が苦しくも粘り強い受けで先手に決め手を与えない。

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そしてついに7一に打たれた桂が前線に出て攻め合いに。
再度、流れは羽生名人に移ったか!と思ったところで
挑戦者もここでなんとすっと手を渡す右図△8八玉!

両者1分将棋にもつれ込んだ大激戦。
その結果については、是非棋譜を並べてみてください。
朝日新聞のTLに掲載されています)

なお、同対局については、
yaminomabot.hatenadiary.jp
他ブログですが、こちらが素晴らしいのでぜひともよろしくお願いします!

竜王戦1組出場者決定戦 5位決定T準決勝

阿久津主税八段-羽生善治名人

20160414 都市センターホテル

羽生名人の対局からエントリー2局目は
4/14に行われた竜王戦1組から。
半月を経てもなお、その衝撃から熱い推薦が相次ぎました。

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本譜は角換わり腰掛け銀、
阿久津八段がponanza流の▲2九飛4八金型を採用、
角の打ち込みに強い形から常に先着し形勢をリード。
後手の妖しい攻めを振り切るように放たれた
右図▲8三銀で大きく先手勝ちに近づいたと思われました。

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後手も手を尽くして△7五桂と迫るも、▲2二歩が決め手級。
手抜けば▲2一歩成△同玉▲3三桂が激痛、とるしかないが、
△同玉でも△同金でも後手の対応が難しい。まさに「切り札」。
同玉か、同金か。羽生名人の選択は――

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どれでもない、△5六銀!
▲2一歩成△同玉▲5六歩は△8五桂が詰めろ!
よって▲3三桂だが△同金右▲同歩成△同金で
▲3四歩が詰めろで入るが――

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投了図の△5五角が詰めろ逃れの詰めろ。
あの△5六銀によって作られた5五のスペース、
そこに角が打たれることで実現した勝ち筋です。

凄まじいとしか言いようがない。
羽生名人に新たに加わった伝説的な勝利だったと思います。



というわけで、以上4局を紹介しました。
残り時間は少ないのですが、

是非是非、改めて投票をよろしくお願いします。