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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




「電力選択制」どうでしょう。


「二森」を名乗っているからってわけではないですが
環境のお話は人並みに興味があります。
共存ってより、「活環」のがしっくりきますけどね。

八ツ場ダム建設中止に反対ですっていうと
「なんでやねん」と言われます。こっちこそなんでやねん。

朝日新聞本紙(2/22付)に 「電力選びエコ市民〜スイス」って興味深い記事が載っていました。

地球温暖化問題への関心の高まりのなかで、市民がそれぞれに環境意識にあった電力源を選べる制度をスイスのジュネーブ州が採り入れている。太陽光や風力などの再生可能エネルギーから石油など化石燃料まで。料金は環境に優しいものほど割高だが、コストよりも環境を選択する市民が多いという。


要約すると、スイス・ジュネーブ州では、
顧客が電力源によって異なる5タイプの料金体系から選択でき、
水力、太陽光などの電力源は化石燃料よりも割高になる。
再生可能エネルギー化石燃料比でだいたい2割高くらい。

でも、ほとんどの人(9割以上)が割高な水力や再生可能エネルギーを選んでて
割安な化石燃料を選ぶ人は3%に過ぎないとのこと。
これを受けて、記事では
「二酸化炭素削減のために、
 もう少しお金を払ってもいいという意思表示だと思う」
とする関係者のコメントを引いています。


「9割超の人がクリーンエネルギー?すげえなそれは」
って話で、欧州の環境意識の高さへと誘導するっつー
ありがちな記事なんですけれど
ただ、ちょっとばかり補足しておくと、
9割超の内訳でいうと、実は8割が水力発電だったりします。

8割が水力っても十分すごい気がするんですが
スイスはアルプスの国なので、豊富な水資源を保有していて、
(記事ではたぶんあえて触れないんですけれど)
世界有数のダム大国でもあります。
提高200メートル級のダムがごろごろあって、
そこから生み出される電力は国内電力の約6割をたたき出すとか。*1

なので、水力発電が比較的安価なのです。
実際、先のタイプ別での水力と化石燃料の価格差はわずか2%程度。
年換算でもほとんど差がありません。
でもって、2割ほど高い再生可能エネルギーを選ぶ人は15%くらいです。
そういう事情を考えると、あえて割高な電力体系を選ぶ人は
すげえ多いってわけではないようで、
なんか松竹梅で竹を選ぶ心理に似ているような気もします。
(ちなみに希望なしだと水力タイプになるそうです)

ただ、そういったお国事情を抜きにしても、
この「電力源選択制」は面白いなーと思います。

例の「25%削減」に関連して、環境相が出した素案によると、
排出量を増加している家庭部門は、
ほぼ半減させなければ国内減少分を賄えないっていう試算になってます。
そのために、「再生可能エネルギーに対する電力買い取り制度」の拡充が
叫ばれているわけですが、この「買い取り制度」って
常々、妙な感じがしてたんですよね。

というのは、太陽光発電設備を整えられる、
大きな初期投資をできるような富裕層が、
結果として日常電力も安価になり、
その一方でそのためのコストが広く電気料金に上乗せされる、
という制度だからです。

つまり、現状では、初期コストを支払うことのできない、
メリットを受けられない層が、環境にコストをかけられる富裕層のために
高い電気料金を支払わなければならない、っていう図式になるんじゃないか。

それって、太陽光発電の普及には一定の効果はあると思うのですが
ちょっと不公平な感じがします。

そこで、たとえばの話で「電力源選択制」。
化石燃料による発電のほか、原子力、風力、水力、地熱等、
電力源によってコストを計算し、かつ、
たとえば送電による減電分も加味して、
複数パターンのプランを作ります。
それに、電力源のエミッションに応じて
環境税(的なもの)を付加したり減じたりする。

グリーンエネルギーの総量は、現時点たかが知れているから
送料以上に希望があった場合には、通常電力の上乗せ分を
グリーンエネルギー推進のための投資に充てるっていうふうにすれば
再生可能エネルギーの普及促進にもつながるはずです。

こうやって設定すると、試算しちゃいないですが、
やっぱりスイスのように、グリーン電力が一番割高になるでしょうね。
ただしスイスに比べて水力は、田舎ならともかく
都市部では割高になっちゃうはず。
都市では、送電コストを考慮しても
たぶん原子力が一番安価になると思います。次いで化石燃料かな。

ただ、この方式ならば、仮に太陽光パネルの設置が不可能な人でも
意識に応じてグリーン電力に「投資」することができます。
また、安価な化石燃料を選択する人も、
排出に応じた環境税は支払うことになり、
いずれにしても新エネルギー普及対策につながるってわけです。

もっとも、電力プランの計算が複雑になりすぎる気もしますし
地域レベルで電力料金が個別編成されるような体系に
シフトしないとならないと思うので、ハードルはやたらと高そうです。

加えて言うなら、電源を選択できるからって言って
それに応じて発電量が柔軟に変化させられるか、
っていうとそうでもないし、
なので、この制度それだけで
二酸化炭素の削減につながるわけじゃないです。

強いて言うなら、今後、
求める電源のタイプに投資しやすくなるってことでしょうか。
でも、間違いなく意識は上がるでしょうし、
小規模なところで社会実験としてやってみても面白いと思います。
とくに地方においては、各地域において、それぞれの実態に即した
電力開発が進むきっかけになるんじゃないでしょうか。

私の住む群馬だったら、揚水発電所とかもできてるし、
水力なら安価に入手できるのかなあ。
でも、水力発電のことを全く無視して
吾妻川の中和事業も中止にしろって圧力も強まってますし。
水源地のメリットをどうやったら活かせるのか、
それもちょっと考えてみたいテーマです。

*1:ちなみに残りの4割は、ほぼ原子力。
スイスのエコを語る邦人が、国内のダムや原発を安易に批判するという
笑えない状況が結構あります。