石炭火力を「コールガス革命」と呼ぶクラスタ。
結構前の話ですが、
石炭が好きすぎる人とお話した際、
「石炭火力が世界を救う」という結論に至りました。
正確に言うと至らしめられた。
2009年のこと。
石炭火力の小名浜火力発電所新設に対し、斉藤環境相(当時)が
「計画上のCO2の排出量が多すぎて是認できない」
として計画の見直しを求めたことがありました。
石炭が好きすぎる人のいわく、
「小名浜の計画は正直無理があるけど
石炭火力すべてがダメだしされるような話になりそうで」
で、実際にそういう方向に向かった気がします。
そしてそれは原発事故が起きた今でもなかなか変わっていない。
そんなこと言ったって、CO2が多いのは事実でしょうよ。
私が言うのに対し、その方の反論はだいたい次の通り。
- 石炭は全世界で最も身近で安価なエネルギー。
なお世界最大のエネルギー源で、今後もその地位は譲らないだろう。
- 一方、日本の石炭火力は効率・CO2排出低減レベルともに世界トップクラス。
- しかも、石炭ガス化過程で発生する水素の利用次第では
さらなる技術革新の余地が残る。
- 排出量取引のルール化が進む中で国内レベルで排出量の増減を問うのは
あまり意味がない。
- むしろ、CDM(クリーン開発メカニズム)を念頭に、
(IGCCとまでは言わなくても)各国の既存施設を
高性能石炭火力に置き換える形が取れれば
日本の排出収支は大幅にポジティブに転じる可能性がある。
- しかし、石炭火力のCDMは石炭自体のネガティブなイメージから
現在のところ実現可能性はほとんどない。
- 環境省は石炭火力をディスる暇があったら、高効率石炭火力を
CDMに含ませるよう国際社会に働きかけるべき。
それが実現すれば、世界のCO2排出量は劇的に改善するし
日本の大きな国際貢献になる。
ということで、冒頭に書いた通り押し切られました。
ただ、そもそもそのCDMがなかなか認められないのは
石炭火力のもつイメージの悪さにあるのだろうし、
天然ガスと比べてしまえば、排出量はどうしても多いという
現実もあります。
石炭火力の可能性は、私にはよくわからないけれど、
負わされてしまったレッテルはなかなかはがれてくれない。
例えば「ディーゼル」なんかもそうですよね。
先日、石原環境大臣が、事実上石炭火力をターゲットとした
東電の新規発電所入札について、「心を痛めている」と
述べたそうですが、最近のレッテル貼りは
むしろひどくなっている気がします。
再生可能エネルギーが実情以上にもてはやされる一方で
実現性は高くとも、名前だけで敬遠されてしまう。
エネルギー政策というのは、もっとも現実的でなければならない
分野だと思いますが、極めて夢想的な話ばかりが議題にのぼる。
そういう現実がある以上、
石炭も戦略的にイメージアップを図らなければ
ならないのかもしれません。
「自然エネルギー」やら「ハイブリッド」が
なにやら素敵なイメージがあるように。
というわけで、IGCCのガス化技術に着想を得て
(そしてシェールガスをパクって)
「コールガス革命」と呼ぶのはどうだろうといってみるテストでした。