二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




はいつくばれ、その先に真実がある。

誇りについて考えること。

先日来、波紋を呼んでいる
「公務員の駆け込み退職」問題。

昨日の朝刊で概要を知り、
「やっぱりな」という気分と
「しかたないかな」という気分が半々くらい。

地方公務員では想定されていませんでしたが
ねじれ国会で改正国家公務員退職手当法が成立するかしないか、
という時に、すでに朝日新聞が
「もらい逃げ」について指摘し、早期成立を訴えていました
(つまり、国家公務員のもらい逃げを許すな、という視点だったけど
 今回は教員対象が多いので厳しい非難は避けるであろう)

★ 2013/1/28 追記 朝日新聞ではなく、毎日新聞だった模様です。
  お詫びして訂正します。


個人的には、今回の制度設計でいくと
結果として企業における希望退職と同じ方法論なので
早期退職を誘導しているも同然だから
「そりゃやめてくれってことじゃねーか」
と、駆け込み退職者が出て当然だと思います。

もしそれを想定していないのであれば、
ただの失政に過ぎないし、
モラルハザードというより、それが経済原則でしょう。

でも、一方でこうも思う。
それがいいか悪いかは別にして、
とても「かっこいい」とは言えないよね、と。


群馬県警の交通鑑識官・池森昭警視が18日に亡くなった、
という記事が同じ日の読売朝刊に掲載されていました
59歳、膵臓ガンだったそうです。

池森警視といえば、交通鑑識のスペシャリストで
NHKの「プロフェッショナル」でも取り上げられていたことがあり
私んちのHDDにも保存されておりますです。

読売記事より。

 池森警視は、ひき逃げ捜査のプロだった。特に現場に残された1ミリ四方の破片から、逃走車両の年式などの手がかりを浮かび上がらせる技術は高い評価を受けた。自らの経験を頼りに、顕微鏡などを使って塗料片を分析。わずか1〜2日で鑑定結果が出たという。

 「捜査が始まると、目を真っ赤にしながら納得するまで帰らなかった」。木村光雄交通部長は、交通捜査指導室長時代の部下の働きぶりを振り返る。必ず現場に行き、地面にはいつくばって痕跡を探し、寝ずに鑑定作業を続けた。2005年から09年に県内で起きた27件の死亡ひき逃げ事件は、全て犯人検挙に至った。

 そんな中、体の不調を感じ、精密検査を受けた結果、11年11月上旬に膵臓がんが発覚した。医師から宣告された余命は「1年はない」。妻の由香子さんら家族は退職し、治療に専念することを勧めたが、池森警視は「若い人に技術を伝えるのが俺の使命。許してほしい」と職場復帰を希望し続けた。昨年3月上旬に復帰。医者からは「デスクワークのみ」を条件に許可されていたが、現場に出て捜査を続けていたという。

駆け込み退職事案と並べて語るべきではない話かもしれません。
病魔を押して指導に生きることも
もはや美談として語られる時代かどうか、疑わしい。

けれど、少なくとも私の心は、
この記事で、確かに揺さぶられたのです。

「仕方なく」利のために職を手放す人があれば
退職もやむない状況で、余命を賭して使命を果たそうとする人もいる。

それはそれぞれの生き方でしょうし、
「正しさ」では推し量れない部分でもあります。

だから、私は
正しいとか間違っているとかではなく
私が心震わされた生き方に近づけるよう
生きていきたいな、と。

地を這って、懸命に。