藤井猛九段、「藤井システム」を語る。(第3回)
7/27、「JT日本シリーズで藤井九段が藤井システムを指した記念」(長い)で
手を入れて更新しました。
「藤井九段による藤井システム解説」、
最後となる第3回は「藤井システムの現在地」、
そしてこれからについて。
画像は、まあ下記を見ていただければ、ええ。
「ダメだとはいわない」システムの現在地
――藤井システムの現在については、という話ですが
私、指してますよ。
「もう藤井システムはダメですか先生」とか
まるでやめたようによく言われるんですけどね。
いや、指しているんだけれど
指しても、「まだ指しているんだ」とも言われないし。
昔に比べれば、確かに採用数は減っていますが
ちょこちょこ改良して指してます。
まあ、指しても「藤井システムいまだ健在」とか、
全然ニュースにもならないし。
――復活傾向って感じになるんでしょうか
いや、昔からダメだって言われるとそこがちょっと。
ダメっていう風には、自分からは言わないようにしています。
確かに行き詰ってはいますよ。先は明るくはない。
ただ、「ダメですよね」って言われると、
「ダメって、私まだやってますけどね」っていう答えになる。
まあしかし何と言ってもほかの人が指さないですもんね。
もう、本当に指さない。
今風じゃないんですよね。
今は玉が固くて指し方がわかりやすいっていうのが凄く好まれる。
ゴキゲン中飛車とか、一番人気ですし。
藤井システムみたいに、玉は安定しないうえに
難しいとか、まあ人気ないですよね。
本当に人気ないんで。
あんなに人気あったのにね。
ゴキゲン中飛車が出てきてからまあ人気なくなっちゃってもう。
どうしたもんですかね。
「難しくないとしょうがないでしょ」システムのこれから
今の若手棋士、だいたい30歳前後の人は
将棋界に入ったのが藤井システム全盛時。
若手に振り飛車党が多いのは、
あれはみんな藤井竜王の影響なんですよ。
――みんな藤井システムを使ってましたもんね
少年たちは当然、当時のトップ棋士のまねをしますから。
当時、僕だけじゃなくて羽生さんも谷川さんも
みんな四間飛車をやっていたから、
当然、新入会してきた奨励会員たちも
見よう見まねでやるでしょ。
で、相手に指されるから、当然居飛車の人も
藤井システム対策を考えるから、
みんなで藤井システムをやるんです。
で、奨励会に入会した時は四間飛車党だったのに
今現在横歩取りばっかやってる人がものすごく多いんですよ(笑)
「当時は振り飛車党でし『た』。
いまは居飛車一辺倒でございます」
って人がすごく多くて。
か、振り飛車党として残っていても
「藤井システムは級の頃はよく指してました。
四段になったのはゴキゲン中飛車のおかげです」
ってね。
だからなんか恨まれているくらいですよ。
なんであんな将棋を・・・俺は勉強していたんだ、ってね。
横道ずいぶんそれちゃったなあ、と。
時間ばっか食わされちゃったって、
困っている人もいるかもしれない。
なんとかしてくださいよ(笑)
――でもまた流行るかもしれませんし
いや、それはないと思います。
とにかく難しいんですよ。
でも難しくないとしょうがないでしょ。プロとして。
長く使えるものって、難しい方がいいんです。
単純で簡単なのは、それはそれでいいんだけれど
そんな戦法がそう長く生き残れるとは思えない。
――ありがとうございました