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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第71期名人戦第5局 棋譜+雑感 森内名人、圧巻の内容で三連覇成る。

将棋 名人戦

まさかのカレー定跡連投と、
強気の攻めが出て(?)森内名人が後手番で勝利。
4-1で名人防衛となりました。強い、強すぎる。

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というか、この対局も夕休前に終わってしまったのですが
せっかくニコ生もやっているってのに、
帰宅前に終わってしまうのがあまりに残念。
画像もキャプれない(そこか)

もちろん、これも一局なのですが、
正直裏でやっていた藤井-上村相矢倉(!)対決のが面白かったという。
(後で紹介できればします)

やっぱりというか、角道を通してからの△3七銀が
大きく流れを引き寄せる一手となったようです。



※ フラ盤の活用法はこちらを参考に。

初日の展開は前掲をどうぞ。

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封じ手は▲3六銀と引く手。
予想では▲1四銀を端攻めに再度アタックする手が
本命視されていたところ。
攻めが続かないとみて立て直した柔軟な手ともいえますが
5八の飛車がこれで活用できなくなってしまった。

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角交換を入れてから両取り。
シンプルながら痛い。
角道を通すために突き越した△6五歩が
土台となって効いている。▲同銀はまた両取りがかかる。
▲同金△同歩▲6八飛では、飛車が走れればいいが
△5七角の返し技が痛い。この瞬間に▲1四桂が利くかどうか。
本譜は▲6八飛と寄りましたが、飛車はますます利きづらい。

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直前に先手は1筋に攻めの拠点を作る意味合いの1四歩。
ここを楽しみに後手の攻めを耐えたいところでしたが、
後手は桂を跳ねる。1手使ってただ捨てのように見えるのだけど
▲同銀とするとこの後飛車が△8五に出てきたとき、
手筋の攻めで銀取りがかけられてしまううえに
飛車の2・3筋突破を狙われて取れない。
また、後に△4七角の筋を生み、挟撃形を作られてしまう。
ただ捨てに見えて先手に駒を与えず、
銀の上がりを防いで攻めをつながれることを防いだ好手。
本譜は仕方なく4五歩と進行しましたが、
後にこの桂が成って銀をとらえ、
最終盤の飛車大転回につながった。

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後手は先手の矢倉をじわじわ崩したうえで一気に決めにきた。
8三の飛車を4筋に転回して4九竜と
ダイナミック入店できればほぼ勝負が決まるといわれている。

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そして、ここで先手が投了。
投了図以下は、△6九竜で先手玉受けなし。
後手玉は全く詰まずで投了もやむなし。
かたちづくりくらいするかと思いましたけど
仕方ないですね。

というわけで、細かいところで
別のルートもあったかとは思いましたが
先手が大きく挽回するような順は見つからず、
後手矢倉で大差勝ちという、衝撃的な結果となりました。

インタビューや感想戦でも△3七銀が調べられていましたが
この瞬間に攻める順がどうやらうまく行かない、
ということのようです。
▲3九で飛車を捕獲させてどうかというところだそうですが
これも後手が指せるという。

大駒を銀で制しに行くという手は割に見かけるのですが
端をあれだけ食われていても間に合うというのは
なんだか異次元な印象です。
豊島さんが盲点と言っていましたが、形勢がワープする感じ。
もっと恐ろしいものの片鱗を以下略。

ちなみに、この△3七銀については、

SHOGI DIARYさんなどで触れられていましたが、
「新手」ではあるものの、研究などで有力手とされていたようで、

指される前に検討室でも指摘されていたようです。
また、この手をponanzaが指していた、

というお話。
名人がソフトで研究しているかどうかはともかく、
何かと象徴的な出来事だと思います。

第3局と第5局は、研究手で盲点を突いた側が
リードを奪って逃げ切る、という展開となりましたが、
それは、第2回電王戦の三浦-GPS将棋に
相通ずる部分があると思ったりもしていたからです。

今回の名人戦は、その結果淡白に終わってしまった感がありますが
たとえば今後、ソフト対局等から新手・新定跡が発見されて
こういった実戦で試行されることで
加速度的に整備され、現在の将棋の進行と
全く異なった形へと向かうかもしれない、
というのは大げさでしょうか。

若干ですが、その萌芽を見た気がします。
それは、定跡の発見・新手の発見という
棋士の長年の叡智と営みを大量に消費していく可能性もある一方で
全く新しい将棋の世界が広がる可能性もあって
そういうことを妄想するのもなかなかに愉快です。

棋譜
開始日時:2013/05/30
終了日時:2013/05/31 16:55
棋戦:第71期名人戦 第5局
戦型:相矢倉
持ち時間:各9時間
場所:ウェスティンナゴヤキャッスル
先手:羽生 善治
後手:森内 俊之

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金
▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △5二金 ▲7七銀 △3三銀
▲7九角 △3一角 ▲3六歩 △4四歩 ▲3七銀 △6四角
▲6七金右 △7四歩 ▲6八角 △4三金右 ▲7九玉 △3一玉
▲8八玉 △9四歩 ▲4六銀 △5三銀 ▲3七桂 △7三角
▲2六歩 △9五歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲3八飛 △2四銀
▲1八香 △2二玉 ▲6五歩 △8五歩 ▲2五桂 △4二銀
▲3五歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 歩 ▲1五歩 △同 歩
▲6四歩 △同 歩 ▲3五角 △3四歩 ▲6八角 △6五歩
▲1三歩 △3七銀 ▲5八飛 △2六銀成 ▲1四銀 △2五成銀
▲同 銀 △1三桂 ▲3六銀 △3七角成 ▲4六角 △同 馬
▲同 歩 △6六桂 ▲6八飛 △7八桂成 ▲同 玉 △8六歩
▲同 歩 △8五歩 ▲同 歩 △8六歩 ▲1四歩 △2五桂
▲4五歩 △8五飛 ▲8八歩 △6六歩 ▲同 銀 △3七桂成
▲7七桂 △8三飛 ▲4四歩 △3六成桂 ▲4三歩成 △8七角
▲8九玉 △4三飛 ▲8七歩 △4九飛成 ▲6九歩 △8七歩成
まで102手で後手の勝ち