第63回NHK杯 佐藤天彦七段-山﨑隆之七段 雑感。
複眼RSSを採用した関係で、
なるべくエントリ頭に画像を入れようと思っていた矢先の
1回戦屈指の好カード、佐天-山崎戦。
/(^o^)\
仕方ないよね、うん。
誰が考えてもここが一番のハイライトだったもの。
いちおう、フラ盤加工用にと思って
これも用意していたんですが、そこはまあ。ええ。
本年2/1に竜王戦1組で対戦した両者。
その時も先手佐天、後手山崎で矢倉戦でした。
で、佐藤七段が勝利。
開始前のインタビューで山﨑七段は、
後手番だったら矢倉でリベンジ的なことをおっしゃっており
そのとおり相矢倉戦となった本局。
山﨑七段が得意とする10手目△5三銀。
急戦含みの手で、先の竜王戦ではこのまま5筋を伸ばして
飛車を回し、居玉のまま攻めまくったのですが
本譜はそれに比べれば比較的穏やかに進行。
先手は早囲い、後手は左美濃。
先手は5七銀で5筋を先受けしたため角道が止まっていて
後手も角が3三に上がっていて自由度が少ない。
ともに角の扱いがポイントになりそう。
先手は3筋に飛車を回して飛車先を切る。
後手は角を7三に展開して機をうかがう。
先手は後手角が展開した分の手得を主張し、クマる。
これなら自陣角もまあ損のない形。
でも、後手も7~9筋に攻撃の芽を着々と整えているのに対して
先手はあまり攻撃には手がついていません。
大駒と桂香の端攻めで攻めつぶせそうに思えるのですが。
これが山崎七段が頭を抱えた桂打ち。
駒得の桂を攻めではなく囲いに使って玉頭に拠点を作らせない。
この桂が後々もかなり利いていた。
序盤で時間を使っていた山崎七段は、
ここで最後の考慮時間を使い切ってしまう。
それでも駒の活用では後手が十分だったと思うのですが
ここで時間に追われたか、後手に疑問手。
感想戦でも真っ先に上げていた5八歩打。
先手の飛車を5筋に回すことになるのですが
飛車が回ることに特に損はないため、単に後手の歩損となってしまう。
飛車の横利きをとめて桂を払いに行く手だったのかな?
でも銀・角がないし・・・、局面を先読みしすぎたのかも。
形勢は先手に振れます。
後手は十字飛車で局面の打開を図りますが、ここで捕獲。
かつ、飛車を誘導した香車や角が自然に玉頭を狙う形に。
山﨑七段に頭を抱えさせた7八の桂が
ここでも王手と攻防を兼ねる馬のラインを妨げている。
銀で払いに行くのですが。
金三枚で防ぐ。固い。遠い。
で、これが投了図。
佐藤七段が判断よく受けきって攻めを切らせた、
穴熊の「遠さ」が際立った対局でした。
山﨑七段らしい曲線的な攻防も魅力的だったのですが
いかんせん序盤で時間を使いすぎた感がありました。
もっとも、山﨑七段がNHK杯戦で優勝したときも
先に時間を使い切ってから勝っていたはずなので、
棋風というより
今日のNHK杯をご覧頂いた皆様、ありがとうございました。終局直後にもあったように、山崎七段は△58歩を後悔しており、そのあたりでこちらが良くなったようです。そこからは疑問手もあったかもしれませんが、おおむね優勢に進められたと思います。
— 佐藤 天彦 (@AMAHIKOSATOh) May 26, 2013
やっぱり△5八歩のあたりなんでしょう。
そしてそれを導いて、終盤まで存在感を放った
▲7八桂が印象深かったです。
竜王戦1組どうしですし、1回戦で潰し合うには
もったいない感はありましたが、
非常に興味深く、面白い対局でした。
◆ 蛇足(23:11)
我々は頓死しました。
「矢内さんをあきらめます」をあきらめない。