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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第71期名人戦第4局 棋譜+雑感。

将棋 名人戦

初日、地獄蒸しプリンで先行した先手が
そのまま手得を生かして逃げ切った。


後手も2日目に地獄蒸しプリンを投入したが、届かなかった。

あながち間違っていない気がするよ!

というか62手の棋譜コメ。

深浦九段は、「羽生さんの表情を見るに、プリンは相当おいしいのでしょうね。当たりを引いたという感じです」とおやつに対する解説も付けてくれた。

深浦九段からこの解説がついている時点で、形勢はいわずもがな。
検討はほぼ打ち切られていたのでは。

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というわけで第4局も、初日でやっぱり差がついてしまったか、
全て森内名人の手の中、というか、森の内でした。


※ フラ盤の活用法はこちらを参考に。

初日の展開は前掲エントリをどうぞ。

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封じ手は大方の予想通り、△3五同歩。
そこから角を向き合う展開となって上記局面。
後手の飛車先が不突きなこと以外は先後同型。
ということは、2手分後手が遅れているということ。
(手番になるからまるまる1手分)

羽生三冠の前日の長考は、
こういった展開を甘受したうえで乱戦に持ち込むか
それともほかの戦いができるか、
ということを考えていたのでしょう。
しかし、局後の感想ではやはり手損が大きく
「初日から苦しい展開となってしまった」、とみていたようです。

よって、後手は暴発レベルでぶつかっても一局だったのでしょうが
ここはじっくりとチャンスをうかがう。

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先手は後手が猛反発してこないことを確認したうえで
玉頭に不意打ち気味につっかける。
同歩は継ぎ歩からの攻めが痛いので同銀と取らざるを得ないが
矢倉自体は弱体化してしまう。

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先手は直前に▲6五歩。
どうぞ3九角打ちから馬を作ってください、道は開けときますよ、という手で
この時点で名人がほぼ局面を完全にコントロールしている印象。
後手は先手の準備をわかっていながらそこに打たざるを得ない。

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先手は後手の角打ちから飛車を逃がすと同時に
5筋に回して戦力を固める。
後手が馬を作る代償として、中央を制圧。
このあとの飛車金両取りをかわせないが
5三にと金を作ることができ、その方がはるかに大きい。

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両取りが決まったけれど、
先手はもはや飛車を必要としていない。

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飛車を犠牲に馬を制して5三にと金を作る。
これでほぼ先手勝ちの流れが固まってしまいました。
玉頭の歩で銀を払っていた効果で、このと金が十分横に効く。

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ほぼ決め手となる角打ち。金銀をどかせた効果で
直接後手玉に利かせることができるようになり、
まさに矢倉を知り尽くした攻めですね。
後手は攻めにも受けにもとにかく駒台に駒が少なすぎる。

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角を切り飛ばす。
基本的にはもうこの時点で後手玉に受けはない。

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全く活用されていなかった飛車を最後に引き出しますが・・・。

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それは詰めろじゃないよね、と名人。
ここで投了となりました。
後手玉は必至、△7六飛は▲同玉で詰まず。

「名人強し」の印象でした。

この対局では、後手の居飛車が最後に一升動いたっきりで
封殺されてしまいましたが、もっといえば

両陣の桂香が全く動かないという。
第3局ではこういった小駒が躍動していただけに
そういった対局にならなかった点でも、
名人の圧力が羽生三冠を押さえつけていたのかな、と思います。

さて、3手目▲2五歩についてですが、
昨日挙げた今泉アマ以外にもアマ戦では使い手がいるらしく、


今後の序盤戦を様変わりさせる可能性を秘めていると思います。
今日行われた女流王位戦でも採用されていますし
結構後手の形を縛るには効果的な気がします。
もっとも、相掛かりに受けられてしまう可能性ももちろんあるから
そのあたりは必ずしも間口は広くない。

ただ相手が横歩や後手振りを狙っていて、それを避けたい場合には
かなり有効な手段かもしれません。
居飛車系オールラウンダーの後手番での裏芸を
かなりの確率で制御できるんじゃないだろうか。

場合によると、藤井九段が現代に復活させた矢倉早囲いのメソッドが
ここで生きて大ブレークする可能性もある・・・かどうか、わかりませんがー。

ともにかくにも、盤石の将棋で名人が3勝目。
防衛に王手をかけました。

名人が力戦系をめざし、それを妨げる術がないのだとしたら
後手番でも名人が存在感を強さを示す、そんな展開もあるかもしれません。

【棋譜】

開始日時:2013/05/21 09:00
終了日時:2013/05/22 19:05
棋戦:第71期名人戦 第4局
戦型:力戦系相矢倉
持ち時間:各9時間
場所:大分県速見郡 的山荘
先手:森内 俊之
後手:羽生 善治

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △2二銀
▲6六歩 △6二銀 ▲6八銀 △5四歩 ▲5六歩 △3二金
▲5八金右 △4一玉 ▲7七銀 △4二角 ▲7九角 △3三銀
▲6八玉 △5二金 ▲7八玉 △4四歩 ▲4八銀 △4三金右
▲3六歩 △3一玉 ▲6七金 △7四歩 ▲3七銀 △2二玉
▲8八玉 △7五歩 ▲同 歩 △同 角 ▲3五歩 △同 歩
▲同 角 △6四角 ▲4六角 △7三銀 ▲7八金 △3四歩
▲6四角 △同 歩 ▲4六銀 △6五歩 ▲5五歩 △同 歩
▲2四歩 △同 銀 ▲6五歩 △3九角 ▲5八飛 △7五角成
▲5五銀 △5七歩 ▲同 金 △6五馬 ▲5六金 △7四馬
▲5四歩 △7六歩 ▲同 銀 △6四銀 ▲同 銀 △同 馬
▲5五金 △5七歩 ▲同 飛 △6六銀 ▲6四金 △5七銀成
▲5三歩成 △3三金寄 ▲6五角 △2八飛 ▲5二歩 △6八成銀
▲7九歩 △7八成銀 ▲同 歩 △7七歩 ▲同 玉 △5五金
▲3二角成 △同 金 ▲4一銀 △3一金 ▲3二金 △1二玉
▲3一金 △7二飛 ▲3二角
まで93手で先手の勝ち