読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第63回NHK杯 中田宏樹八段-佐々木勇気四段 雑感。

日曜朝のひとときではないですが、NHK杯の雑感をひとこと。

それよりなにより、
矢内さん、髪の毛がさらに短くなられてお美しい。

佐々木勇気四段は本戦初出場。
今日は解説に師匠の石田和雄九段が登場。

今回のNHK杯で本戦初出場なのは、この佐々木四段と
以前紹介した高見四段の2人で、ともに石田門下。

「師匠にいいところを見せたい」的なコメントをしたのですが
もしかしたら中田八段の方が
石田九段を意識した指し回しだったかもしれません。


相矢倉から、先手・中田八段は1筋を突き越して
▲1七香、▲1八飛。雀刺しだ。

これに石田九段は
「昔の将棋だねえ、よく指しました」と応じる。

結果的に、若手の研究を避けたこの躊躇ない端攻めと
裏をかくような迅速な開戦に佐々木四段は対応が後手にまわり
攻めては中田八段に冷静に対応されて封殺。

石田先生の弟子に対するお小言ばかりが
目立つ放送となってしまいました。

感想戦によると、佐々木四段は
雀刺しについて「経験なかった」とのこと。
ある程度結論の出た古い戦形も、逆に研究をかいくぐる手段となりうる。
ベテランらしい仕掛けが見事にはまった一局でした。


・・・と、そんな感じで昨日見ていたのですが
今日付けで配信になった連盟モバイルの対局が、
昨年5月に行われた石田九段の現役最後の棋譜でして。
竜王戦6組・対小林宏七段)

そこで石田九段は矢倉から雀刺しを試みている。

対局後のインタビューでは

昔の時代にやっていた雀刺しをやって終わろうと考えていたんです。
もちろん、勝ちたい気持ちもありましたが、覚悟はしていたんですよ、これが最後になるだろうと。

と語っておられ、戦形に強い思い入れを示していました。
(コメントはその後も続き、ぐっとくるものがあるのですがここでは措きます。)

もしかすると、中田八段はその棋譜をみていたかもしれない。
それを、石田九段の弟子である佐々木四段に
ぶつけてみたってことはないだろうか。

そうだとすれば、粋な計らいですね。
もっとも、石田九段にしてみれば、
弟子に勝ってほしかったでしょうが
代理の指導対局のような形にはなったのかもしれません。

棋士は去っても、棋譜と精神はどこかに残る。
それがあるとき現れて、盤面で光を放つこともあったりする。

本当は今回の対局については書くつもりはなかったのですが、
モバイルの棋譜とコメントをみて、
なにかが胸に響いたので、ふと書いてみようと思いました。

あの時放てなかった端攻めが、きれいに決まったりする。
先週の森九段といい、ベテランの対局もまた、
本当に魅力的だからかなわないな。