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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




第6期マイナビ女子オープン第3局 上田初美女王-里見香奈女流四冠 史上初の女流五冠誕生。

将棋

NHKで、ほぼトップニュース扱いでしたねー。

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棋譜はマイナビ特設ページにあります。

5番勝負を連勝し、勝てば史上初の女流五冠が確定する里見女流四冠は
先手番で飛車先を伸ばし、居飛車を明示。
(長ったらしいので以下「里見四冠」と書きます。)

対する上田女王は角道を止めての四間飛車
からの、穴熊。得意な形。

で、里見四冠は左美濃からの銀冠となり、
この形は名局賞特別賞を受賞した
第39期女流名人位戦第5局と同じ進行だ。ぱきぱき局面が進む。


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見事なまでの銀冠と振り穴4四銀形。

ここからの進行については、「通ってきた道」上田女王が
指しやすさを感じさせる動きを見せていたのですが
6~7筋の攻防で先手が勢いを取り戻す。

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先手が6筋の攻防で優位に立って3一馬を作って飛車を引かせ
すかさず金の頭を叩いたところ。先手がはっきりと
局面を握ったと思われたのですが。

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上田女王の反撃、7五桂に先手は銀を逃げる。
馬を4五につけ、9一の熊を狙撃する位置取りだったため、
7二に歩を叩く手が有力とみられていました。
これで後手に2九の桂が入り、△8六桂を打つ筋が生まれて
後手が若干盛り返す。

ここでずるずる手を保留してしまうと
形勢はさらにわからなくなった可能性もあったのですが、
里見四冠はここで中途半端に受けず、攻め合いの順を選択。

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ツイッター解説の吉田正和五段が「先手勝ち」とみた局面。
先手玉は確かに薄いのだけれど、裏を返せば自由度が高く
後手は絞りきれない。
逆に先手は角と馬で穴熊を着実にはがしていけば
自然勝ちとなる。

最後は詰み筋を明示して129手で先手の勝ち。
見事な見切りで、史上初の女流五冠位を達成しました。

印象に残ったのは、振り飛車党とされた里見四冠が、
本局では飛車を8一に1升動かしたのみの
「まさに居飛車」な勝利だったこと。

1戦目で本筋である石田流で先勝したものの
第2局は横歩取り(そうとう異次元な感じでしたが)で勝利し
女流名人戦で激戦を繰り広げた上田女王に
スタイルの変化も見せつけてのスイープ。

そのまなざしの先にあるのは、女流六冠制覇というよりも
ただ純粋にその棋力に寄って立つ「棋士」であるということを
強く感じさせるシリーズに思いました。

プロ棋士をめざして戦う奨励会では
やはり厳しい戦いが続く里見五冠。

六冠の行く末もそうですが、奨励会全体が
いい意味で注目されるようになるといいなと思います。

棋譜
開始日時:2013/05/01 10:00
終了日時:2013/05/01 17:20
棋戦:第6期マイナビ女子オープン五番勝負第3局
持ち時間:各3時間
場所:大阪・関西将棋会館
先手:里見香奈女流四冠
後手:上田初美女王

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △3二銀 ▲5六歩 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉
▲7八玉 △7二玉 ▲5八金右 △8二玉 ▲7七角 △4三銀
▲5七銀 △9二香 ▲8八玉 △9一玉 ▲7八銀 △8二銀
▲8六歩 △5二金左 ▲8七銀 △6四歩 ▲7八金 △6三金
▲3六歩 △7一金 ▲6六歩 △4五歩 ▲6五歩 △4四銀
▲6四歩 △同 金 ▲6七金右 △7四歩 ▲9八玉 △6三金
▲8五歩 △7三金 ▲8六角 △6二飛 ▲7七桂 △1四歩
▲6六銀 △6一飛 ▲6五歩 △5四歩 ▲7五歩 △同 歩
▲同 角 △7四歩 ▲8六角 △5五歩 ▲3五歩 △同 歩
▲2四歩 △同 角 ▲5五歩 △3六歩 ▲5四歩 △5一飛
▲6四歩 △5四飛 ▲6五桂 △7二金引 ▲5六歩 △3三銀
▲8四歩 △同 歩 ▲6三歩成 △同 金 ▲3一角成 △5一飛
▲6四歩 △5四金 ▲3二馬 △6四金 ▲2三馬 △2七歩
▲1八飛 △6五金 ▲同 銀 △6六歩 ▲同 金 △5七角成
▲6七金引 △2八歩成 ▲5七金 △1八と ▲4五馬 △7五桂
▲7六銀上 △2九と ▲8三歩 △8六桂 ▲8八玉 △7八桂成
▲同 玉 △8三銀 ▲9五桂 △8二金 ▲8三桂不成△同 金
▲7二銀 △8六桂 ▲7七玉 △8二金打 ▲6四角 △7三桂
▲5五歩 △5四歩 ▲8三銀成 △同 金 ▲7二金 △8二銀
▲5四馬 △4一飛打 ▲5三角成 △6五桂 ▲同 銀 △7三金
▲同 金 △同 銀 ▲8三桂
まで129手で先手の勝ち

◆ 追記(23:25)




どうしても記事が里見さん目線になってしまうけれど、
女流名人位戦を含めて、この一連のシリーズでの上田初美さんの棋譜には
深く感じさせるものがありました。これからも注目しています。