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二森日和。

将棋をみた感想。たまにサッカー。ごくまれに雑談。




トヨタ騒動と環境摩擦。

雑記 環境

今日の「クローズアップ現代」は
改めて、というか、
トヨタ・リコール問題(米公聴会)関連でした。

日本ではある程度、メディア的な関心が下火になったこともあってか
比較的落ち着いた視点の、いいリポートだったと思いますが
だからこそ、「ここまで来るのに長かったなあ」
っていう感じがします。

このお話は、やたらに難しいんで
いろいろな切り口があると思うのですけれども、
私は「環境摩擦」の観点からちょっと話をしてみたいと思います。

ある時点から、アメリカサイドは
トヨタの環境技術を狙い撃ちにする方向に転じたのではないか。
今年に入って、私はずっとそんなことを考えながら
ニュースを見ていました。


本題に入る前に、ちょっとばかり前置きを。

トヨタのリコール問題がこれほどまでに大きくなった原因について、
それは直接的にはトヨタが問題認識を誤り、後手に回ってしまった
ってことだと思うのですが、と同時に、
そもそもこの話が「急加速」したのには
次の3つの背景があったと思っています。

1つ目に、スクラップ・インセンティブ「CARS」の失敗。

アメリカでは、昨年7月下旬、自動車販売のテコ入れ策として
「自動車買い換え優遇制度」(CARS)を導入しました。
平たく言えば、燃費の悪い車からいい車に乗り換えると
政府が買い取り価格に最大40万円程度の補助をつけるよ、
ってものだったんですが、ところが、いざ実施してみると
買い換え車のリスト上位10台のうち5台を
日本車(ホンダ2、トヨタ3)が占めてしまう。

CARS自体はかなり新車の買い替えに貢献したのですが
(米企業ではフォードが急伸した)
財政出動して日本車メーカーを潤わせるのか」って声が上がり
当時のCNNニュースなんかでも政府関係筋が相当たたかれていた。

結局、この制度は8月23日をもって打ち切られてしまいます。

レクサスが暴走し、一家4人が亡くなった衝撃的な事故は
この直後、8月28日のことでした。

2つ目は、よく言われるように、
今年は「中間選挙」の年であること。

ちょっと前からひとつ気になっていたのは、今回の問題が
今年1月末に急浮上したってことでした。
時期的にみると、1月19日に米上院の補選があり、
民主党の候補が敗れ、オバマ政権の運営が流動性を増した、
っていうニュースの直後でした。

その後にプリウスのブレーキ問題が日本でも問題となる。

そして3つ目は、日本側の対応です。
それまで、この問題をほぼ静観していた日本のメディアや政府が
一斉に騒ぎ出したのは、トヨタの事実上のフラッグシップ、
プリウスのトラブルが露見してからでした。

メディアは、トヨタの対応が後手に回ったことを批判してましたが
昨年夏からの状況を眺めてみると、
日本のメディアの対応のがずっと遅かった。

結局、「全く止まらない」かのような印象の、
冷静さを欠いたパニック的な記事が並んでしまい、
「フィーリングの問題」という
ハイブリッド車的には「完璧すぎる」アナウンスが
やり玉に挙げられてしまいます。

アメリカの政治情勢が絡んでいることが
問題の一端であることが語られ始めたのは、
プリウスのリコール発表から1週間以上経った後でした。

個人的には、もう少し日本でも落ち着いた報道がなされ
(そしてそれは事前のアメリカ国内の情報と、
 ハイブリッド車への造詣があれば可能だったはずで)
その結果として、豊田社長の最初の会見が周到に準備されていれば
もう少し違った展開になったんじゃないかな、って気がします。

この会見は、アメリカ側に、ほとんど悪意を持って報じられたけれど
会見がセットされたのが記者の多い東京ではなく
しかも記者のほとんどが日本語を解さないせいで
内容をなかなか確認できなかった、という
記者サイドの都合にそぐわなかったってことが
その要素の一つだったって話があります。

まあ、どうあってもこの状況下では
トヨタはたたかれていたはずですが
少なくとも日本側がそのアシストをしてしまったことで
アメリカでも問題が加速したっていう側面があると思います。

そもそも、プリウスのブレーキ関係については
その後、ほとんど問題にすらされていません。
リコールが必要だったかすら、
実際のところ検証されていないでしょう。
おそらく「フィーリングの問題」というのは
ほぼ、技術的には正論だったんでしょうけど
それを許さない方向に(否応なく)なってしまったことが
その後の展開に大きく影響したんじゃないか。

そして今、問題はETCSへと向かっています。

これまでつらつらと述べてきましたが
これだってあくまでも「遠因」で、この問題には
あまりに複雑な要素が絡みすぎて、はっきり言ってよくわからん。

でも、私が思うに、プリウスの話が拡大してきた時点で
明らかにある種の「思惑」が介在してきていると感じだしました。

フロアマット、アクセルペダルの問題が、
いつのまにかETCSと回生ブレーキシステムに
ターゲットが移っている。

つまりは、トヨタの「環境技術」を狙い撃っている、
ようにみえるのです。

現在、日本車の燃費に貢献している技術は、
ハイブリッドはもちろんですが、
基本性能部分の燃費向上も見逃せません。

そのポイントは
CVTと電子スロットル制御。
加えて、ハイブリッドならばもちろん、回生ブレーキ

トヨタは、ETCSと回生ブレーキについて
技術やノウハウの事実上の開示を迫られているんじゃないのか。
つまり、「安全性を証明するため」という名目のもと、
先進技術の流出を強要されているんじゃないんだろうか。

なんてったって、いまやGMの親方はアメリカ政府です。
その先には、「ハイブリッド技術の供与」という思惑もちらつく。

仮にそういうことまで考えているのであれば
提供を受ける技術にケチをつけるのは得策じゃないから
回生ブレーキに対する風当たりが弱まったのも説明がつきます。

ETCSについては、米メーカーとの共同研究って話で
けりがつきそうなので、技術的な流出が確定すれば、
もしかすると風向きが変わるかもしれないとか思います。
もっとも、このへんは問題の核心部分なので、
活かさず殺さず的な形で温存される可能性もあるのかなあ。

まあ、一つの視点にしかすぎませんけどね。
でも、不自然なまでに環境技術に絞って
ケチをつけられているのは確かです。
その背景には、「環境技術の摩擦」があるんじゃないか、
っていうのが、私の勝手な想像です。

私は、とくにトヨタ車に何の愛着もありません。
今までオーナーになったこともないし、
実は今回、クルマを買い換えるんですが、
トヨタ車にはなりませんでした。
父が2代続けてプリウスに乗っていますが、
だからといって、とくにトヨタを擁護する立場にはありません。

ただ、温室効果ガスをあと10年足らずで
現時点から30%削減させるって言ってて、かつ
新車販売の50%をハイブリッドにしていかなければならない、
なんて試算しているにも関わらず、
その試算の根幹技術がケチをつけられ、
つまり、日本の環境技術の信頼性に傷をつけられているのに。

なんだかずいぶんとお人よしな反応をしているなあ、
とか思いながら、この騒動を見つめています。